みなさんご存知のことでしょうが、まずはこれだけのことを確認しましょう。
お酒、つまりエチルアルコールの水溶液は、日本では合法とされていますが、ドラッグ、麻薬のひとつです。
アルコールだって、一時にある一定量(致死量)以上飲み過ぎれば死に至りますし(だからイッキが忌み嫌われるのです)、十年単位での話ですけれど、習慣性(依存性)があります。また、アルコールが直接・間接の原因となっている死者の数は、タバコを唯一の例外として、ほかのどんなドラッグによる死者の数をも凌駕しています。
少なくとも日本の専門医の間では、一日の適正飲酒量は純アルコール換算で平均20グラム程度、平均60グラムを超えるようだと多量飲酒とされるようです。
適正量というのはこの場合飲み続けてもアルコール依存症にならない量のこと。より具体的に言いますと、ビールなら500ミリリットル入りのロング缶ないし中瓶一本、ウイスキーのストレートや、ちょいと強めのジン・ベースのカクテルなら一杯くらいが適正量。ビールで大瓶二本、カクテルなら三杯を越えたあたりからは多量飲酒。資料によってはもう少し寛大な目で見てくれるものもありますが、こと日本の場合、厳しい資料こそ真実をあらわしているとみなすべきでしょう。
もちろん個人差はありますが、多量飲酒を十年続けると、俗に「アル中」というときに連想される症状が出てくるとされます。
酒が切れたら手がふるえる(振戦譫妄)とかピンクの象が見える(急性幻覚症)とかいうのは序の口で、依存症になってしまった患者は、遠からぬうちに肝硬変や食道ガンによる死の危険にさらされます。
いわゆるアルコール中毒には、よく知られている身体的なものと、あまり意識されていない心理的なものとがあります。
心理的なもの、というのにもさまざまな様態があるようですが、ごくおおざっぱに言うと、「つい飲んでしまう」「やめられない」のが特徴でしょうか。この心理的な依存を直しきれないからこそ、「アル中」は一生直らない病気だと言われるわけです。
アルコール依存症にも、周囲に直接迷惑をかける攻撃的なタイプと、表面的には何の問題もないように見える(けれども明らかにアルコール性の病気で亡くなっていく)おとなしいタイプとがあるのですが、いずれにしてもお酒を飲んでいる限りは依存症になる危険がありますし、実際、お酒を飲む成人男子に話を限ればすでに十人に一人は依存症になっているのではないかという見方もあります。
あまり口幅ったいことを言うつもりはありませんけれど、軽視だけはなさいませぬよう。