アルファベット順にAからZまで(建前上は)26の小話と、「いわゆるマティーニ」のレシピが101+α、それからロンドン、ニューヨーク、東京あわせて24軒のバーガイドが載っているという本なのですが、なんとも食い足りないなあ、というのが正直な感想。
絵本として見れば、とても綺麗です。
が、小話はせいぜい1ページ分。欠番としか言いようのない話もありますし、なにせタンカレー・ジンが主役と決まっているものだから、1980年代にマティーニが復活したのはもっぱらウオッカのおかげだったことなど、すっぽり抜け落ちていて、マティーニ本としては片手落ちもいいところ。
確かに欧米では従来のジン/ウオッカ+ベルモットというマティーニを越えて、ぼくらにとっては一般の「カクテル」でしかないものまで「マティーニ」扱いしているわけですが、その背景を語らなければ、「なぜこれがマティーニなのか」という基本的な疑問が解決しません。
「『これがマティーニ?』と考えるのはもちろん愚問」なんて書いてありますが、その問題意識を追求しないマティーニなんて、「マティーニ」じゃないですよ。
裏にいるのはタンカレー・アンバサダーであるという保志雄一氏。レシピの方は……きちんと突き合わせていないのでナンですが、まあ、新しげなものがたくさん載っていますよ、とだけ論評しておきます。
どう位置づけるのがよいのか、かなり悩ましいのですが、少なくとも初心者向きの本ではないですね。