Charlie's Cocktail BAR

  • −お酒は責任のとれる範囲で飲みましょう−

[玄関] [履歴] [メニュー] [検索] [本棚] [カクテル講座] [はばかり] [はしご]

どこかのお店で修行して資金が貯まった頃に海外でBARを出そうと思っています、どなたか海外でBARを出店する上で何か良いアドバイス等がありましたら教えて下さい。お願いします。

(by EWAN)

んー、なんで「海外」なんでしょう? 「海外」のどこで、なんでしょう?

ぼくの目からすると、このレベルなら「およしなさい」というのが一番のアドバイスだと思うのですが、以下、その理由を説明しますと。

1.まずもって海外でやっていかれるだけの語学力はありますか? 漠然と「海外」なんて言っているくらいですから、なんとなくアメリカを意識している程度で、具体的にどうこうというイメージはないのでしょうが、バーというのは基本的に対面販売、それもお客さんが具体的な商品を見せたり指さしたりしてくれるとは限らない商売なのですから、最低でも日常会話レベル、一般には政治や経済といったお堅い話題から、ジョークに猥談といったごくやわらかい話題まで、なんでも現地の言葉でこなせるくらいでないと勤まりません。そして、少なくともいまの時点でそのくらいの語学力があるのでない限り、この先国内のお店で修行したからとてそういった語学力が身に付くとは思えません。日本以外のどこかに、言葉がそこまで通じるところはありますか?

2.いまメジャーリーグで活躍している日本人選手たちのように目に見える特殊技能があるでもなく、国内に世界的な知名度を持つ店をかまえているわけでもない――映画『カクテル』の中でダグラス・コグランが自嘲していた言葉を借りれば、「バーで酒を注ぎ、バカ話をするのはうまい」くらいの――日本人が、いきなり海を渡って「仕事をさせてほしい」と言っても、「はいどうぞ」とすんなり応じてくれる国はありません。移民の国と言われるアメリカでさえ911以降は特にピリピリしていますし、伝統的に保守層の強いヨーロッパでも移民問題は常に政治の重大な関心事です。そもそもの日本人からして外国人労働者を入れると日本人労働者の働き口がなくなると言って、黙認されている単純労働と一部の専門職以外にはほとんど門戸を閉ざしているくらいです。その壁を乗り越える方策はありますか?

3.たとえ運良く就労が認められたとしても、今度は人種的な偏見や所得格差の問題などが立ちはだかります。生活圏がほとんど特殊な世界のみに限られる海外留学の場合と違って、お店を出してそこで商売をするということは否応なしに富めるもの富まざるものの争いに巻き込まれることになるわけで、「日本人のくせに生意気だ」と、いつ荒事の標的にされないとも限りませんし、人の理性を奪うものを売り物にするのですから、営業中からして治安がよい国内では考えられないほどの危険と隣り合わせることにもなりかねません。なのに大企業の海外駐在と違って他の誰が守ってくれるわけでもありませんから自分の身は自分で守るしかないわけですが、その辺のことは意識しておられますか?

4.一般に、日本人ほどバーで飲む酒の味にうるさい国民はいないとされています。海外の多くの人はバーテンダーの技術なんてものにはあまり頓着せず、大雑把につくられたものを大雑把に飲んでいると言ってもよいでしょう。そんな人たちを相手にしようというのに「修行」なのですか?

これ以上例を挙げても仕方ないでしょうが、ことほどさように高いハードルがあるのを承知でなお海外でバーを、というのであれば、まずは何らかの手段で海外移住してしまうことを強くおすすめしますね。開業資金は現地でためることです。その間にはさまざまな壁が立ちふさがることでしょうが、それを乗り越えていくうちに、運が良ければ地域の住民に認めてもらえるようにもなれるでしょうし、お店の開き方なりなんなりも勉強できるでしょう。

国内でいくら自分の客をつかんだって、海外にまでついてきてくれる人はほんの一握りも居ればいいところなんですから、日本のバーで修行する必要なんてありません。

おすすめはしませんが、あきらめずに頑張るのであれば、幸運を祈ります。

(by Cha.)

補足:その後このEWANさんはオーストラリアに八年も在住経験があったと知って、苦笑い。本来ならこの一文も書き換えるべきだと思うのですが、一般論としてならこう書いておくのも悪くないかと思ってそのまま残してあります。

Permalink | 2005/08/15 09:00


Cha.への伝言板

ボケでもツッコミでもご自由に。質問がある方もこちらへどうぞ。
でも、仮名で結構ですからお名前くらい教えてくださいね