エル・ディアブロのことをあれこれおたずねの林蘭さんへ。残念ながらつくった人については皆目わかりませんし、できた年代も、レシピからしてそう古くはなかろうとは予想されるのですが、やっぱり不明。手元にある本の中では1984年刊の The New International Bartender's Guide までさかのぼれていますので、少なくとも1980年前後には生まれていたはずですし、実際そのあたりの生まれではないかと思っていますが、この辺はもっと古い資料も見てみないと何とも言えませんね。ただし、少なくとも1930年代からの歴史のある Savoy Cocktail Book や Mr.Boston には出ていませんし、そもそもどう考えても1950年代ないし1960年代以降、合衆国のマルガリータ人気が高まってから生まれたカクテルでしょうから、そう的外れな推測ではないはずです。
せっかくなので試飲してみましたが、ぼくは一般に広まっている背の高いグラスでつくるレシピよりも、いわゆるロックグラスによく冷やしたテキーラを3、ライムジュースを1、クレーム・ド・カシスを1くらいの割りで(お好みでなるべく大粒の氷をひとつふたつ加えてから)混ぜ、最後にたとえばウイルキンソン銘柄のドライがつかないジンジャーエールを、多くても1くらい、要するに微炭酸が感じられる程度に加えて飲む方が「魔王」らしくてよいと思いました(普通の辛くないジンジャーエールを使うのであればイェーガーマイスターないしアンゴスチュラ・ビターズをごく少量加えると雰囲気が出ます)。
もちろんこれは例によって濃いめの好きなぼくの言うことですから万人受けするものではないと思いますけれど、あえてジンジャーエール/ソーダを減らしたのはもうひとつ、エルの落ちたディアブロないしデビルズ・カクテルとして知られるカクテルや、ディアボロ/ディアボラというカクテルの存在を意識しているから。
『世界のカクテル大事典』によると、前者はホワイト・ポート・ワイン+ドライ・ベルモット+レモンジュース少々をシェイクないしステア、後者は多少のバリエーションはありますがだいたいブランデー+ドライ・ベルモットにオレンジ・キュラソーとビターズをそれぞれ少々、あるいはデュボネ+ドライ・ジン+オルジェーシロップ少々というのがそのレシピ。つくってみれば(というか、つくらなくても)おわかりでしょうが、「悪魔」がらみのカクテルはだいたい赤っぽくて薬くさく、しかも無炭酸なんですよね。
もちろんこれは地獄の烈火やら何やらからの連想だろうと思いますが、その伝統にしたがうのであれば、なんだかシャブシャブ感ただよう市井のレシピでは不足かな、と。
年齢限定ネタを書くと、エル・ディアブロと言ったらぼくは真っ先にアーケイディアというバンドを思い出します(デュラン・デュランの半身と言った方がわかりやすいかもしれない)。あいにく日本ではCD化されなかったようですが、US版が試聴できるようなので興味のある方はどうぞ。
ぼくもテープに落としたまま十年来聴いていなかったのを再聴したのですが、保管が悪かったせいでモノラルになっちゃうところがあってちょいと冷や汗。エアチェック(死語)したテープも全部確認しとかないとダメかなあと、言いつつ心はすでに八十年代。
ご近所さんからはセイ・セイ・セイが聞こえてきます(笑)
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