Charlie's Cocktail BAR

  • −お酒は責任のとれる範囲で飲みましょう−

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はばかりネタにするべきなのかもしれませんが、「ワインなどの醸造酒の製造方法に上面発酵と下面発酵がありますが、どの様な発酵過程なのでしょうか?自分なりに調べましたが、その発酵方法を経た結果しか分かりませんでした」というKojiさんへ。

説明する前に少し書いておきますと、醸造技術者や醸造学の研究者になりたいというのでしたら話は別ですが、本当に「結果」がわかったのでしたら、途中など頓着する必要はないんですよ(^^;) いや、醸造技術者でさえ、そうかもしれない。問題は、その技術が最終的な製品にどの程度の影響を及ぼすか(無視できるレベル、最高の条件下では認識できる、ごく一般的な条件下でも認識できる、等)、どの程度のコストで実現できるかなのであって、技術そのものの内容ではないんです。

もちろん醸造技術者とて結果やコストの点でよりよい方法がないかを探るためには技術そのものの研究をする必要が出てくるでしょうし、研究者は技術そのものが興味の対象ですから技術の研究をするわけですが、一般消費者のレベルで「その技術の研究をして、何が得られるか」というのは――Kojiさんに限らず、ぼく自身の自戒もこめて――もっと意識された方がいいと思うんですよ。

消費者にとって大事なのは、欠陥品をつかまされないことを含めた、コストパフォーマンス――その価格とその製品の質が見合うかどうか、ですよね?

たとえばある会社が新しい技術を使った酒を生みだしたとします。彼らはその技術にかかったコストを当然価格に転嫁しようとします。その転嫁する価格が、本当にその技術によって生まれたはずの新しい味に見合うものかどうかを適切に判断するために――単純に高いからノーというのではなく、高いけれどいいものだから是とするとか、いいものだけれど高すぎるから否とするとかいう理性的な判断を下せるように――技術の勉強をすることは大切だと思うのですが、どうも最近はその域を超えたところで、あの技術はどうの、この技術はどうのと、まるで自分が醸造技術者にでもなったかのような議論をする方が多いような気がして、いささか違和感を感じているのです。

ま、お酒なんて嗜好品なんですから技術を飲みたいというのもそれはそれで結構なことだと思いますし、カクテルなんて半分は逸話を飲んでいるようなものなんですから他人様のことを言えた義理じゃあないんですが(^^;)、どうせ調べるんなら、そこから建設的な何かを生みだしたいなあと、思うんですわ。ハイ。

少しと書いたわりにえらく長い前振りになっちゃいましたが、簡単に言うと、上面発酵は高温下で短期間、下面発酵は低温下で長期間、発酵させるもの、です。酵母が上に行くか下に行くかというのはどうでもいい話。上面酵母と下面酵母ではたとえばメリビオースという糖を完全に発酵させられるかどうかという違いがあるそうですが、そんなの温度と期間に比べれば取るに足らない差でしかありません。たまたま上面酵母は高温下(ビールの場合は摂氏20度くらい。赤ワインなら30度くらいにまでなることも)で活動が活発になり、下面酵母は10度くらいで(比較的)活動が活発になるため、高温で短期間発酵させたい場合は上面酵母を、低温で長期間発酵させたい場合は下面酵母を使う方が効率がよいというだけのこと。

ここから、たとえば雑菌管理などの点では低温下の方が有利だとか、高温で短期間発酵させる場合に比べて低温で長期間発酵させると(一般論として)原料に由来する香味が出づらくなるかわりに発酵に由来する香味が出やすくなるとか、付随する情報が出てくるわけですが、これは「結果」ですからご存知ですよね? 温度の上げ方下げ方などにもそれぞれ工夫があるそうですが、これ以上は醸造学その他の専門書をあたってください。

ところで、この質問の一日あとに、IPアドレスもブラウザの種類も同じ半角のKojiさんから「はじめまして」のご挨拶をいただいたのですが、これって全角のKojiさんですよね?(^^;) カキコの内容は「カクテルBAR開業を目指して現在勉強しています」というもので、全文の紹介はしませんが、これからしなければならないこと、しようと思っていることが具体的に書いてあって、大変好感をもって拝見しました。開業の暁にはぜひお知らせくださいませ。

最後、ソル・クバーノは白ラム+グレープフルーツジュース+トニック。1980年サントリー・トロピカル・カクテル・コンペティション優勝作だそうで、作者は木村義久氏。質問するんだったら名前くらい名乗りなさいってば。

Permalink | 2003/07/24 09:00


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