Charlie's Cocktail BAR

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年頭から準備している大型プロジェクトはなかなか始まらず、これならしばらくはカクテルの方に力を入れられるかしらなどと思って実験を始めたりするとあっという間に日が経ってしまうのはどうにかしたいものなんですが(^^;)

ともあれ、「アマレットを使ったカクテル スプラッシュを探してます」というMOON SAITさんへ。旧版(1987年初版)の『バーテンダーズマニュアル』には、ボッチ・ボール(アマレット+オレンジジュース+ソーダ)というカクテルのイタリア版、それもアマレットよりもオレンジジュースの方を多くしたものをスプラッシュ(splush)と呼ぶ、なんて書いてあるんですが(ちなみに現在出回っている新版(1995年初版)の『バーテンダーズマニュアル』には載っていません)……

(1) 「好きなお酒は」という設問に amaretto e succo d'arancia! slurp!「アマレットのオレンジジュース割りよ!ズズッ!」なんて答えているイタリアの若い女の子がいるくらいですから、レシピはさておき確かにこのような飲み物はイタリアでも飲まれているようです。

(2) ただし、splush というのはイタリア語ではありません。もっと言っちゃえば、英語ですらありません。困ったのかタイポなのか、spulush なんてつづっている人もいるようですが、これも間違い。正しくは同じくスプラッシュと発音する英語の splash(「ソーダを一振り」なんて言うときによく使われる語)なんでしょうが、もちろんこれもイタリア語ではありません。イタリアではスプラッシュと呼ばれているなんていうのは明らかに眉唾物の説明です。

(3) ボッチ・ボールの方は、「イタリア風の野外ボウリング(ペタンク)に使うボール」というくらいの意味なんですが、そもそもこのボッチ(boccie)ないしその元となったイタリア語のボッチア(boccia)ないしその複数形のボッチェ(bocce)の意味自体がそのボウリングなどに使う「ボール」のことというのですから、屋上屋を重ねた名前というか、いかにもよくわかってなかったアメリカ人がつけた名前っぽい感じはします。

(4) そのレシピの方も、確かに上記『パーテンダーズマニュアル』と同じくアマレットとオレンジジュースが30mlずつにソーダ適量なんて書いてある資料も内外問わずあるんですが、そのソーダ適量の中身をよく見てみると、実は a splash (ないし a dash) of soda だったりすることも結構あって、日本人がイメージするようなシャバシャバ・カクテルとは微妙に意識が違うんじゃないかという気がひしひしと。実際、ソーダ抜きのレシピも(アメリカのサイトに)見つかりますし、boccie ball はシャバシャバに、bocci ball はソーダの代わりにウオッカを加えてビシッと決めるなんて使い分けをしているところもあったりしますから。

(5) で、ぼくなりにアレンジしたボッチ・ボール(ないしMOON SAITさん言うところのスプラッシュ)のレシピ。二通りあるのはそれぞれまったく別のおいしさを追求したからと思いねえ。

ボッチ・ボール (1)
 アマレット 1
 オレンジジュース 最大で1
 氷

これはアマレットのボトルに書いてあるのとほとんど同じ。ビルドで、ソーダは加えないか、加えるにしても微少量。ホントは氷を抜いて、常温のアマレットに冷やしたオレンジジュースを三分の一くらい(というか、それこそ a "splash" of orange juice)の方がうまいんですが、これは飲み手を選ぶから注釈としてここに書くだけとします。この作り方をするときはアマレットのアルコール臭だけをオレンジジュースで抑えるつもりで、それ以上薄くしないことを心掛けるのが吉。濃縮還元のオレンジジュースを使うときなど、オレンジジュースの濃さがイマイチ足りないときはごく少量でいいのでシロップを補うと味が落ち着きます。

ボッチ・ボール (2)
 アマレット 1
 オレンジジュース 2〜3
 欲しければソーダ少量
 氷

ま、上の逆ですね。今度はオレンジジュースがメインで、アマレットはオレンジジュースの厚みを加えるだけにとどめるのが吉。ソーダを加えてもいいんですが、ソーダを加えても飲めるくらいオレンジジュースが濃いものでないと半端な仕上がりになっておいしくないです(アマレットのソーダ割りにオレンジジュースのスプラッシュ、なんてレシピもあるんですが、それは番外ということで)。ただ、このレシピを選ぶくらいならさらにグレナディンを落としてアマレット・サンライズにした方が見栄えもするし、一般的かも。

(6) ちなみに『世界のカクテル大事典』にはまったく別物の(アマレットを使わない)スプラッシュ(splash)カクテルが二種類載っています。もっとも、いずれも国産ですし、お世辞にもスプラッシュのイメージに沿ったカクテルとは言いがたい代物ですが。

嫌いなリキュールではないんですが、さすがに一晩でボトル半分も飲むと飽きますね(^^;) もう少しレスしないといけないものもあるんですが、ちょっと調べておきたいこともあるので今宵はこの辺で店じまいにします。

Permalink | 2004/02/18 09:00


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