Charlie's Cocktail BAR

  • −お酒は責任のとれる範囲で飲みましょう−

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先日書いたジュニアバーテンダーの話に資格を持ってらっしゃる方から長文のレスをいただきましたので(ありがとうございます)お返事を。

私はHBAのジュニアの資格は持ってるんですけど、資格っていう感じで、ねらってなるもんじゃありませんよ。
そもそも、バーテンダーって、結構軽く見られがちなんですよね。ソムリエもバーテンダーも結局は酒に携わる仕事は共通しているのですが、なぜかバーテンダーって同じようには見られないんですね。はっきりいって、どっちが役に立つなんて、言ってしまえるほうがおかしいような気がします。サービスなんかにしても、それぞれ違ったやり方もあって、結局はお客様あっての仕事でしょ、お客様の使うスペースというか、シチュエーションの違いでそれぞれを利用してるだけのことであって、どちらが得とか損とかっていう話ではないような気がします。
少なくとも、バーテンダーって酒全般の知識をもっていて当たり前の仕事ですから、ソムリエさんと共通してる部分もありますね。
ただ、バーテンダーに高額のお金を払ってでもなる必要がないと思うのであれば、本当にソムリエにもバーテンダーなりたいと思ってないのかも知れない、と思ってしまいます。
行過ぎたことを書いてしまったかも知れませんが、バーテンダーっいう仕事に誇りを持ってるものですから、そこはご勘弁を・・・。

さて、のっけから厳しいことを書きますが、「そもそも、バーテンダーって、結構軽く見られがち」なのは二重、三重の意味で当然のことです。本質的な仕事の優劣の差、ではないんですけどね。

たとえば、バーテンダーとソムリエとでは、扱うお酒にかかるコストが一桁も二桁も違います。バーテンダーの扱うお酒は、悪く言ってしまえばいつでも買える。誰でも買える。だから、酒屋の休業日を乗り切る分くらいあれば、ストックもさほど必要ないし、金額そのものも小さいから、劣化したからとて捨てても惜しくない。結果、保管コストもたいしてかからない。ソムリエが扱うワインはどうか。もちろん底辺のワインならそれなりに安く買えるとはいえ、まともに商売するなら低温セラーに保管しておかなければならないというだけでコストがかかる。ハウスワインはそこそこ安定供給できるものを選んでいるでしょうが、それ以外の品ともなればどこででも買えるとは限らないし、どのお店で買っても安心というものでもない。一級品ともなればボトル売りで数万、数十万(以上)の世界だから、回転率も悪い=保管にかかるコストも高い。かといって回転率を高めるために安物で固めると今度はお店のイメージに影響する。だから、必然的にソムリエの方が仕入れに気を遣わざるをえないし、ホテルの料飲部門がコストダウンをねらって一括仕入れをするならソムリエ経験者に、となるのがふつう。

また、もちろん例外的なバーテンダーもいるでしょうが、全体的な傾向として、バーテンダーはソムリエに比べて厨房に対する発言力がない。ソムリエは活躍の場がレストランなだけに仕入れの段階で常に料理とのマリアージュを考えますから当然シェフとのつながりも強くなりますが、バーテンダーの側は、なかなかその輪に入り込めない。蚊帳の外に置かれる人が軽視されるのはどの世界でも同じこと。

だから、少なくともホテルという大きな組織の一員として見るなら(もっと露骨に言うならホテルの人事部の視線で見るなら)、ソムリエの方がバーテンダーより役に立つというイメージは間違いではないと思う。その善し悪しや、(繰り返しますが)実際の仕事の優劣はともかくとして、「バーテンダーって酒全般の知識をもっていて当たり前の仕事ですから」と言うなら、「ソムリエって飲食全般の知識をもっていて当たり前の仕事ですから」ね。

同じお金を払うんだったら、バーテンダーではなく、ソムリエの資格を、とすすめたのはそういうこと。実際、ソムリエの勉強のなかには食前食後にすすめるアペリティフやディジェスティフの勉強も含まれていますから、シェイクがどうの、ステアがどうのと言わなければソムリエの勉強だけでもそれなりにまかなえちゃいますし、先日も書いた通り、勉強のための資料はソムリエ試験対策の方がはるかに充実していますからね。

お金をかけて資格を取ること自体を否定しているわけではないんですよ。でも、同じお金と時間を費やすなら、より使える資格を目指せというのは当然でしょう? もちろんHBAという組織の中枢を目指したいというなら別ですが、HBAはあくまで業界団体であって、実際の雇用主ではないはずですしね。

――というのが、バーテンダーとソムリエとを比較して、ソムリエの勉強をしなさいと言った(ポジティブな)理由。ほかにもいくつか、HBA/NBAをはじめとする業界団体に対するネガティブな意見というのもなくはないんですが(^^;)、これはぼく自身もプログラム書きやら翻訳やらに負けて原稿執筆が遅れている身ですから大きなことは言いますまい。

ただ、ひとつだけ。

どんな仕事であっても、「誇りを持ってる」だけじゃだめなのよ? 「これでいいんだ」って思考停止してしまったらおしまいよ?

正直に言って、ぼくはいまのバーテンダーという「集団」の活動にはまだまだ不満を持っています。個々人の活動についてはともかくとして、いつまであんな旧態依然としたレシピ集に満足しとるんだって、思っています。バーテンダーの売りって、ほんとはあんなレシピにあるわけじゃないでしょ? どうしてそこをアピールしていかないの? 海外の一流ホテルのバーテンダーが敬意を払われるのは往々にして彼らが街の生き字引だから、そしてそれがホテルのユーザーに知れ渡っているからですが、翻って日本の現状は、どう? まだまだできること、いっぱいあるんじゃないかしら?

釈迦に説法だったらごめんなさい。時間もスペースも足りないので今日のところはこの辺で終えておきますが、せっかくの機会ですからみなさんも日頃思っていることを公開してみませんか? ぼく個人の気持ちとしては仮でもいいのでハンドル名くらいつけてほしいなとは思いますが(^^;)、立場的にまずかったら匿名でもOKですよ。賛成反対含めて、みなさんからのレスをお待ちしてます――この話に限らず、ね(笑)

Permalink | 2004/05/13 09:00


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