Charlie's Cocktail BAR

  • −お酒は責任のとれる範囲で飲みましょう−

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ぼくは子供たちが生まれてからこの方ずっと家での仕事ですし、かみさんも、昔の職場に働きに出ているとはいえ、パートの身ですからまあ定時には帰ってくるわけで、よほどの事情がない限り、夕食は家族が全員揃って食べるものというのが、まあ、大人はともかく子供たちの常識となっておりまして。たまにぼくが夕食時に――というのはつまりかみさんが仕事から帰ってから、ということですが――仕事の打ち合わせに出かけるとなると、えもいわれぬ恨みがましい目で見られたりもするのですが。

そんなこんなで、二時間ほどの打ち合わせをすませて、まだ仕事があるからとまっすぐ帰宅。妻子がきれいにさらった鍋の残り汁でひとりはまぐり鍋を食したのですが、これがまたいい具合にできまして、というのが今日のアテ。

鍋はみんなでわいわい言いながらつつくから楽しいのだ、と、世では言われていますし、それはそれで別種の楽しみがあるのは間違いないと、ぼくも思うのですが、鍋物を本当においしく食べたかったら、ひとりで――いや、ひとり分を、と言ってもいいかもしれないですが――食すに限ります。煮え上がりの時間を計算しながら、煮えにくいもの、だしの出るものから順繰りに入れて、豆腐を入れるときは、その下準備として、豆乳と、今日は豆板醤を加えてだしの温度を下げ、豆腐を入れたら火を止める準備。最後の最後に春菊なりせりなりをわさっと入れて、火を止めたら、煮えばなのいいタイミングを逃さないようにわっさわっさとはしを動かす。こんなところで酒を飲むのは野暮のすること。食感を、舌の温度を変えたかったら別の食材に手を出せばいい。飽きを感じるようなら具材が多すぎる。あるいは少なすぎる。

ひとしきり食したら、今度はお酒の時間。なにをつまみにって、当然目の前の鍋の出汁。締めの雑炊に使うには多すぎる、そのあまる分をアテにするわけです。もちろんこのときの酒は日本酒。量は一合。断然、冷や。なんなら甘めの白ワインでもいいですが、樽香がうるさいのは願い下げ。はふはふと、一心不乱に食べていればまだ出汁はあたたかいはず。冷めていたらがっかりしましょう。滋味たっぷりの出汁を噛んで、お酒を一口。どうしても堅いものが欲しかったら漬け物なり生野菜なりで口をさっぱりさせながら、出汁を含んで、お酒を一口。一合が空く頃にはさすがに出汁も冷めてきているでしょうから、お酒はおしまいにして、今度は雑炊――といっても、和風の雑炊にしてしまうつもりは毛頭無く、再度出汁をあたためなおして、お米を入れて、しっかりと出汁を吸ってぱんぱんにふくらむのを待ちながら、卵を溶いて。あらかた汁がなくなったら、火を止めて、一呼吸置いたら卵投入。まだ熱い鍋肌に当てるとぼそぼそになってしまうので、米からの熱で火を通すくらいのつもりで、大きくかき混ぜ、いかにも卵ソースという状態になったら、黒胡椒をたっぷり振って、ふたたびさっさと。所要時間三十分ほど。家族と、友人といっしょじゃ、こうはできない。ひとり鍋のときの楽しみ。

こうして、文字にしてしまうと鈍重で、なんてことなさそうなものなんですけれど、今日のひとり鍋はいかにもリズムが軽快で楽しかったのです。お酒も、食事も、もちろん本当はゆっくり摂るに越したことはないんでしょうが、忙しいとき、手も口も頭も回転が速くなっているときって、そんなゆっくりにイライラすること――イノチチもといイノシシ年生まれのぼくでなくたって、ありますよね? だからってお子さま向けのファストフードじゃ心が冷えるし、プラ容器に入った何やらじゃわびしすぎる。独り暮らしでふだん料理をしない方にはもとより縁遠いものなのかもしれませんけれど、たまのひとり鍋、それもリズムよく食べるひとり鍋って、いいものですよ。

というわけで仕事に戻りたいんですが……うーん、連絡の来ない相棒氏、ぶっ倒れてるんでなければいいんですが(汗)

Permalink | 2005/01/19 09:00


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