Charlie's Cocktail BAR

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昨日の続きです。

さて、当日は大きく二部構成になっていたのですが、まずはその第一部。先日書いた通り、ぼくは「サントリーのモルトウイスキー 〜樽へのこだわり〜」(サントリー/輿水精一氏)、「ウッド・マネジメント」(グレンモーレンジ/ビル・ラムズデン氏)、「アイランド・モルト 〜 アイランド地方の奥深さに触れる旅」(ディアジオ/ゴードン・ベル氏)のセミナーに参加してきました。ご覧の通りで、ぼく自身の今回のテーマは「樽」。ワインとも共通する話だからというのもありますが、ぼくが大好きな(いまでも機会があったら訳したいと思っている)ワイン入門書のひとつが「樽なんてなぁ『味の素』でしかねえんだよ!」と毒舌を吐いている通り、ブラウンスピリッツ類における樽の役割というのは昔から常に気になるところだったのです(そのわりに勉強不足なのはお恥ずかしい限りですが)。

で、まずはサントリー輿水氏。山崎蒸溜所にある最古のシェリー樽は輸入物でしたが、いまはスペインで現地生産していますし、今後は国内生産(非シェリー・スパニッシュ・オーク樽)も増やしていきたい、というお話を一本の筋として、サントリーのこだわるスパニッシュ・オーク(なかでもとりわけ common oak と呼ばれるものにこだわるとの由。ホワイト・オーク=アメリカン・オークとの違いは、チローズ(tyloses。樽材の導管部分を充填して漏れにくくする樹脂成分)の量が少なく、タンニン分が多めなこと等。ラテン語の人としてメモしておくと、スパニッシュオークの学名は Quercus robur、アメリカン・オークの方は Quercus alba。そーいや quercus は女性名詞なのでした(^^;))と、国内材(エゾミズナラ:これについては山田健氏の記事(「時の魔法8 樽職人・梶丸義治さんのこと」)アリ)について、あれこれと。試飲は1985白州(ホッグズヘッド)、1984山崎(シェリー樽仕上げ、スパニッシュ・オーク、ファーストフィル)、1983山崎(アメリカンオーク)、1979山崎(ミズナラ)。それぞれヴィンテージモルトシリーズから。最後の余談として、ブームになっている焼酎は原材料がいろいろだけれどウイスキーの方は原材料が決まっているのに多様だからおもしろいという発言もされていましたが、これは上記の毒舌を思い出させて、ひとり苦笑しとりました。

体調悪いとか言いながら、この時点でまだ昼食も摂っていなかったのに度数56度ほどのウイスキーをショット一杯分。我ながらこれはヤバいと、一階のコンビニで食料補充して、そんなことはめったにしないのですが、マイケル・ジャクソン氏の『モルトウィスキー・コンパニオン改訂版』のサイン会に。もっとも、サイン本が欲しかったというよりは、とりあえずそこに行ってみれば誰か知り合いが通りかかるかもしれないなあというくらいの腹づもりだったのですが。

続いて、ビル・ラムズデン氏のセミナー。「荷物が届かなかったのでキルトを着ずのセミナーで申し訳ない」なんて言葉から始まりましたが、モーレンジとアードベグのコンセプトの違いや、樽材としての観点から年輪の話(early wood / late wood)、焦がし様の違いなど。春小麦と冬小麦の話(冬小麦の方が糖度=アルコール度数は上がらないもののフレーバーが出やすいらしい)もしていましたっけ。試飲はファーストフィル、セカンドフィル、それらをブレンドした10年もの、アーティザン・カスク、実験的なサンプル、そして30年もの。彼もスコッチ・ウイスキーの製法を縛る Scotch Whisky Act(1988)、Scotch Whisky Order(1990)という法律があるにもかかわらずウイスキーが画一的にならないのは樽のおかげだなんてことを言っていましたが、まあ、それはそれとして。通訳をなさっていた方が何倍にも話をふくらませていらしたのはおもしろくもあり、もどかしくもあり。ときおりポイントを外しておられたとはいえ、お上手だったのですが、この程度の英語であれば、そしてこんなオタクな集まりに来る人の層を思えば、難しそうなところだけコメントするだけでもいいんじゃないのかなあ。

このモーレンジのセミナーではもうひとつ、申し込みメールの件でツッコミを書いたおりに MUNE さんから当日こちらでお手伝いをしている旨のご連絡をいただいておりましたので、軽くご挨拶。お互いにサイトを行き来するようになってかれこれ五、六年は経っているわりに、ぼくが出不精だったものでまともにお会いするのは今回が初めてだったのですが、いつぞやのオフ会の写真で一方的にお顔は存じておりましたので無事お会いできました。ほっと一息。

この頃にはキリキリ痛み始めていた胃をかばうためにふたたび一階のコンビニで食料補充して、今度は展示会場に。ここで、まがりなりにもカクテル・サイトのオーナーとしては女性バーテンダー各氏がつくるウイスキー・カクテルに注目してこないといけなかったのでしょうが、もう入り口近くにあったアンカー・ディスティリング/アンカー・スティーム(ご存知ない方のために書いておきますと、アメリカ地ビール業界の中興の祖です)のブースにはまってしまいまして(^^;) 「おたくのビール、大好きなんです」なんて言いながら ジュニペロ/フニペロ(Junipero) というジンを試飲。49.3度という度数のわりにスムースで、パンフには light と書いてありますが、そこまでライトという感じはなく、ボンベイ・サファイヤやシーグラムのような突出した香りがないからとて無味乾燥ということもなく、ひとことで言ってしまえば、イイ!

さらにぐるりとめぐって、ジョン・ミルロイのシルバー・バーレー・ブレンドというのの冷やしたもの(ウイスキーというよりはテキーラ様の味で、ミキサーとしてはおもしろそうですが、一発ネタかも)と、アラン蒸溜所でマルサラ/ポート/ラム・フィニッシュのものをそれぞれ試飲(メモし忘れましたが、もうひとつ飲んだかも)。ラム・フィニッシュの出来に比べると、ポートはクセが出過ぎ、マルサラはいまひとつ物足りないという印象を受けましたが、これは人それぞれでしょうね。

この辺で時間が来たので、ふたたびセミナー会場に移って、今度はゴードン・ベル氏(別にベルという名のスコッチとは関係ないとの由(^^;) →スコッチ通信)のセミナー。こちらは通訳の方があまりお酒に詳しくなかったようなのが残念でしたが、ベル氏のユーモアに何度か会場がわきました。試飲はタリスカーの新酒、3年、8年、10年、ラガヴリンの新酒、3年、8年、12年、16年。タリスカーの新酒を試飲して、真っ先に連想したのがイカの塩辛。氏は飲めたものじゃないなんて言っていましたが、ぼくはこういうの大好きです(笑)

ここで、もしかしたら会えるかなと思っていた方と遭遇。夜の部まで小一時間、ご一緒させてもらってもよかったのかもしれませんが、どうせ第二部があるのだからと、ひとり喧噪を離れて、一階で読書。パラパラめくっただけで読み込めていなかった福西英三氏の『洋酒うんちく百科』をじっくりと……読むつもりで途中二十分くらいはうとうとしていたような気もしますが(^^;)、出版社の方からも尻をたたかれたばかりでしたので、付箋貼りつつきっちりお勉強。

そんなことをしていた御利益でもあったのか、第二部では、実はお会いできるとはまったく思っていなかった著者氏にいろいろお話をうかがえたのが大きな収穫でした。日中展示会場でシェイカーを振ってらしたホテルニューオータニの清水さんをはじめ、エスプーマ(もどき)を使ったカクテルが最近流行しているんだよ、なんてことを教わったという話をここで書いちゃっていいのかなあと、思わぬではないのですが、カクテルの世界を離れてみれば、たとえばイタリアンの山田宏巳氏らが(この方もスペインにはまっていたそうですからたぶんエル・ブジの影響なんでしょうが)温度差のあるスープなどを「今日の料理」等々で発表されていますから、まあ、いいでしょう。一杯で二度楽しいってのはこの数年のトレンドですしね。

カクテル業界でも、古い一派に属する人や本は渾然一体になるまで混ぜないと、なんてことばかり言っていますが、渾然一体にして楽しめるのは分量が少ないときだけで、当今のようにグラスの大きさが大きくなるばかりの時代においては、あえて混ぜきらない方が楽しかったりするものなんです。というか、それ、料理の世界では当たり前の話でしょう?

ほかにも、MUNE さんの即席 M's Bar(ウソ)を拠点に、アンカー・ディスティリングの方とふたたび意気投合したり、同じ県内でもかみさんの実家からチト遠いのですが島根で酒屋をされている方とお話ししたり。M's Bar に並んでいたものとしては、サントリーの 焙煎樽梅酒が興味深い出来、ニッカ仙台宮城峡のシングルカスク1990年もの(2004年6月ボトリング、62.5度)に瞠目。ニッカのウイスキーにはちょっとしたトラウマがあるものでかれこれ十五年近く飲んでいなかったのですが、や、不勉強を恥じるばかりです。

昨日の第一報に書いた各氏のオリジナル・カクテル。少なくとも試供されたものについてはあまりいい出来だとは思いませんでしたが、この辺がカクテルのむずかしいところ。ぼくが口にした試供品がベストの状態だったとは思えませんからね。ただ、結局は目分量でしかないとはいえ、流量の不安定さを見るにつけ、ポアラーを使った方がいいんじゃないのかなあと、思ってしまった方がいらしたのは内緒です(そんなところばかり見ているなよって? ごもっとも)。

ま、なにはともあれいろいろと有意義な一日でありました。会の運営にあたられたみなさん、そしてこの長文のエントリを最後まで読まれたみなさん、お疲れさまです。

というわけで、祭りはおしまい。さて、まずはプログラム仕事から、片づけませんとね。

Permalink | 2005/02/13 09:00


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