前回のダークピットの話、伝言してくださった方からお名前とサイトの URL をいただいたのですが、なんだか見覚えがあるなあと思って見てみれば、やっぱりブックマークしてあった Midnight Bar の(というか、Midnight +1)の gaby さんでした。道理で、と納得。
もちろんわかる方は Midnight +1 (「深夜プラス1」)という名前だけでどういうサイトか想像がつくと思いますが、未見の方はぜひ。しばらくネタには困らないと思いますよ。
ともあれ、せっかくですから、ひとつハードボイルドがらみの小ネタを。
ハヤカワ文庫版(清水訳)の『長いお別れ』第二十二章。リンダ・ローリングと出会う直前の場面。個人的には結構大事だと思う一行がもれているのですね。
私は彼女から二つ目の腰かけに腰をかけた。バーテンは私にうなずいたが、微笑は見せなかった。
"A gimlet," I said. "No bitters."
彼は私の前に小さなナプキンをおいて、私の顔を見つめた。「じつは、いつかあなたがお友だちと話していらしったのを聞いて、ローズのライム・ジュースを仕入れたんです。その後、あなたがちっともお見えにならないんで、今夜はじめてあけたんです」
この伏線が、第四十六章で生きてくる。
「ビターを入れるんでしたね(You like a dash of bitters in it, don't you?)」
「いつもは入れないよ。きょうは少しよけいに入れてもらおう(Not usually. Just for tonight two dashes of bitters.)」
それぞれがどういう場面だったかは邦訳なり原書なりを読んでいただくとして、もちろんこの bitters は苦味酒としてのビターズであると同時に人生の辛酸を意味するビターズでもある、と。
もしかしたら誰かがどこかで紹介済みの話かもしれませんし、知らなくても大筋の理解にはいっさい差し支えませんが、酒飲みの翻訳家としてはこういうところの方が気になるということで(^^;)
腹がやぶれる
ギムレットとビターズ(続)
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