相変わらず体調はあまりぱっとしないのですが、3月末に引き続きまたプログラマ界隈のカンファレンスで小話をしてきたとか、そちら向けの原稿を一本執筆しているとかでそれなりに忙しいこの頃。ここも一ヶ月以上ほったらかしになっていて申し訳ないなあとは思っていたのですが、おりよくMisagoさんからミモザについて書けとのネタふりをいただきましたので半端に解説してみましょう。
今回は私のサイトの掲示板で話題に出したのですが、ミモザについてです。普通のレシピですとスパークリングワインにオレンジジュースのレシピですが、大辞典を見るとジンにベルモットとベネディクティンというようなレシピもあります。NBAレシピを見るとIBAオフィシャルレシピとしてバックスフィズ(ミモザ)という書き込みがありますが、IBAではバックスフィズとミモザを区別しているとも言われています。もう少しつっこんだところで何か蘊蓄がございましたらお聞かせ願えませんでしょうか。よろしくお願いします。
まず、『カクテル大事典』に掲載されているベネディクティンのレシピですが、これが日本の本にしか載っていないというのはあきらかに稲氏の調査不足。ぼくもまじめに調べたわけではないですが、たとえばニネット・リヨン女史が1980年に出した本にはUn Mimosaという名前でジン、ベネディクティン、リレを等量シェイクというレシピが掲載されていますし、カクテル史の流れから言うとほぼ間違いなく禁酒法以前のレシピだろうと思います。
その証拠に、いわゆるみなさんが知っているミモザというカクテル。一説によるとこの名前の発祥は1925年頃のパリらしいのですが(ちなみに異説もあります。念のため)、その当時、少なくともリッツのメニューにはGrand Mimosaという名前で載っていたらしいのですね。
また、バックス・フィズといわゆるミモザですが、たしかにこれは別物です。そもそもバックス・フィズ自体、オリジナルはいまのような単純なレシピではなく、グレナディンが入るとかなんとか制限があるのですが、それを別にしても、両者はシャンパンの量がまったく違うのですよ。バックス・フィズ、当時の呼び方にならえばボランジェ・オレンジはオレンジジュースが一にシャンパンが二。ミモザは逆に、オレンジジュースの方が多いんです。だからこそ、ミモザの方にはグラン・マルニエが落とされ(最近の本にはトリプル・セックなんて書いてあるものもありますが、これは事実誤認)、バックス・フィズにはグレナディンが加えられた。おまけに意味がないわけではないのです。
バックス・フィズにしろミモザにしろ、起源はおそらくもっと古くて、これまた一説によれば19世紀にまでさかのぼれるんじゃないかと言われていますが、いまのところ裏付けとなる資料がないので断言はできません。ただ、フランスの貴婦人が夫なり恋人なりに連れられてシャンパンハウスめぐりをしたときに、ボランジェの強さに驚いて何かで割ってもらえませんかと頼んだ(ら、ハウスの人がオレンジを搾ってくれた)とかいう逸話はなかなかもっともらしいので、どこかに典拠がないかなあと常々探していることではあります。
細かいところは省いちゃいましたが、こんなところでよろしいでしょうか?(笑)