この深夜の一杯については、特にぼくのような家庭持ちの自宅派の場合、絶対にゆずれない一線というものがあります。
それは、家族や、アパートの隣人といった、まわりの人が目を覚ましてしまうような大きな音は立てられない、ということ。
だから、シェイクものやブレンダーものは論外ですし、できれば洗い物も極力少なく――グラスひとつに――とどめたいですね。
また、スッと飲んでサッと寝る。これが深夜編の目指すところですので、ぐずぐず飲むのは御法度。いかに世間的な時間が深夜であっても、のんびりしたいのであれば、みなさんにとって、それはまだ宵の口ということですから近々書くつもりでいる晩編、特に食後編をどうぞ。
で、本題。
深夜飲むのに一番簡単なのは何か、といえば、もちろん各種ウイスキーやブランデー、ダークラム、あるいはコアントローやグラン・マルニエ、シャルトリューズといった、そこそこ度数が高くて香りのよい、できればほのかに甘みを感じる(ただし口の中がべたつかない)お酒を少しなめることでしょう。夏場など、ぬるいとアルコールくさくてかなわないということであれば、小さなグラスに注いでから冷凍庫に入れるか、毎日のことであるなら小瓶に移し替えたものを冷蔵/冷凍保管してください。
度数の高いお酒が苦手な方なら、ミント・リキュールやカカオ・リキュール、コーヒー・リキュールに走るのが定石かと思いますが――こちらはまず間違いなく凍りますので、小瓶に移し替えて冷凍保管するのはやめましょうね(冷蔵庫ならOKです)。
いつもストレートではあまりにも芸がない、という方は、ラスティ・ネイル(ドランブイ)やフレンチ・コネクション(アマレット)、あるいはB&B(ベネディクティン)のように、何か濃いめの色のものを少し混ぜてください。寒い季節ならグロッグやホット・ドランブイ・タディもいいですよ。
寝る前に甘いのを飲んでも気にならない方、あるいはこんな古くさい定番はいやだ、という方は、ベイリーズを含めたいわゆるチョコレート・リキュールの類や、種子系でもちょっと定番を外れたノチェロやフランジェリコ、カハナ・ロイヤルの類を小さなグラスに入れて、お好みにあわせてちょいと冷凍庫で冷やしたりしてから飲むのがおすすめ。
なんで冷凍庫かといえば、氷を入れては深夜編の趣旨に反するものになる可能性大だから。もちろんボトルごと冷蔵保存できるのであれば冷やし直す必要はないですが、いずれにしても昨日のぼくのように冷蔵/冷凍庫のなかに忘れてしまわないよう気を付けましょう(ん? そんなのを待っているくらいならおとなしくステアしたら、ですって? ステアのためにグラスやら氷やら用意して、なんてしているうちに冷えちゃいますよ。それに、そんなに洗い物したいですか?)
冷凍庫モノといえば同じように度数強烈なジンやウオッカといったホワイト・スピリッツも定番ですが、こと、ぼくに限って言えば、こういう白くて冷たいのを飲んで締めると(空)元気が出て、もう一仕事してみようかな、という気になってしまう――そしてすぐにもう一度締めの一杯を飲むはめになる――ので、寝る直前にはあまり飲まないようにしています。もちろんバーに行ったときはマティーニをあおって締め、ということもありますが。
シェイカーを振ってもかまわない環境におられる方なら、アフター・ミッドナイトとか、ビトゥイーン・ザ・シーツとか、よさげな名前のついたカクテルもいくつかありますが、どうも後かたづけしているうちに醒めてしまいがちなので、深夜編としてはあまりおすすめしません。